DOSEIの日記

技術メモ+日常ログ

直交曲線座標と計量

直交曲線座標 [ξ_1, ξ_2, ξ_3] が、
対応する3次元空間のデカルト座標 (x_1, x_2, x_3) と
x_i = f_i(ξ_1, ξ_2, ξ_3)
という対応をもっているとする。
このとき、
g_ij := Σ_k (∂x_k⁄ξ_i)(∂x_k⁄ξ_j)
を計量(metric)とか基本計量とか第一基本量とか呼ぶ*1
ここで座標軸がいたるところで直交していると仮定しているので i≠j では g_ij は 0 になる。よって対角要素 g_ii だけに値を持つが、ここで
h_i := √g_ii
とおく。これを scale factor という*2。h_i じゃなくて g_i を使うこともあるので混乱せぬよう注意。

さて、この計量の幾何的意味は、ある座標軸 ξ_i 方向の微小変化に対する距離の比である。簡単に言えば、座標変化 1 に対する距離はいくらか(実際は 1 変化する前に距離の進み方が滑らかに変化するから、あれだが)。つまり、座標変化に関する距離変化の速度。各点でこの比が異なるということは、座標グリッドを書いたときの疎密をこの値が決定している。もちろんこの値は一般に定数ではなくて、 ξ_j (∀j)の関数である。
距離の微小変化を線要素(line element) と呼び、 ds と書くとする。この変化量を直交3方向 ds_1, ds_2, ds_3 に分解すれば
ds^2 = ds_1^2 + ds_2^2 + ds_3^2
とかける(ピタゴラスの定理)。ここで、その分解した成分を各方向の微分で表すと
ds_i = h_i dξ_i
となる(上で言ったように、h_i が座標変化に対する距離の比を表しているから)。よって、一般に
ds^2 = (h_1 dξ_1)^2 + (h_2 dξ_2)^2 + (h_3 dξ_3)^2
となる。
じゃあ、平方根とらなくていいじゃんとか思うかもしれないけど、まぁもちつけ。

例1 [普通の直交座標 (x,y,z)]

x 方向の微小変化を考えると、その量はそのまま空間上での距離である。よって、比は 1。直交座標系の計量は全て 1 である。
距離 s の微小変化を ds とすると、各座標の微小変化 dx, dy, dz を使って、
ds^2 = dx^2 + dy^2 + dz^2
とかける。この計量をユークリッド計量(Euclidean metric)とか標準計量 (standard metric)とか呼ぶ。なお、計量が g_ii でのみ 1 なので、クロネッカーのデルタを使って
g_ij = δ_ij
とかけるトリビア(謎)。

例2 [極座標 (r, θ, φ)]

x = r sinθ cosφ
y = r sinθ sinφ
z = r cosθ
という座標。球座標とも言う。英語では Spherical coordinates。

  • r 軸方向は座標を一定間隔で取っているので計量は h_r = 1
  • θ 軸方向は角度を一定に保っているので、座標の変化に対する距離の変化は一定。ただし、中心から離れれば離れるほど、つまり r が大きくなればなるほど座標の変化に対する距離の変化が大きくなる。計量は h_θ = r
  • φ 軸方向は、中心から離れれば離れるほど、つまり r が大きくなればなるほど座標の変化に対する距離の変化が大きくなる。さらに、 θ 座標が赤道に近づくほど大きくもなる。計量は h_φ = rsinθ

各座標の微小変化 dr, dθ, dφ を使うと、距離の微小変化 ds は
ds^2 = dr^2 + r^2 dθ^2 + r^2 sin^2θ dφ^2

*1:2つの添え字で表現されるので、2階テンソルであり、計量テンソルと呼ばれる。

*2:日本語ではなんていうのかよくわからん。尺度因子?まぁ、これを計量と呼んでいる本も多いような。